クリエイティブ経営と組織

2000.08.28

有限会社で行こう

最近しばしば気になることがある。起業家として、経営者として、思うところを少し述べたい。

気になることのひとつは、いわゆる『有限会社』の有り様だ。

半年間のニューヨーク滞在では、何件もの新興企業の誕生を目の当たりにしてきた。Webをめぐる巨大な資本の力をフルに活用し、それぞれの専門家を一気呵成にかき集めては新しい会社を立ち上げてしまう、そのエネルギーには、正直驚くべきものがあった。
対して我が国で従来行われてきた古典的な徒弟制度は、それの対局にある起業システムと呼ぶことが出来るだろう。師について時間をかけてその技を磨き、一本立ちするときには師の技を引き継いでいく。その時には、師の顧客の何人かも引き継ぐことを許されることもあろう。技術は人から人へ正確に伝えられ、のれんが分けられてゆく…。もちろんこの封建的な制度のディスアドバンテージは見落とされてはならないが、それにしてもアメリカに右へならえで、金にモノを言わせる起業法だけが、我々の全てではなかったと思う。
さて、有限会社のことだ。有限会社というと、とかく資金集めでは力の弱い中小企業の代名詞のように見られてきたが、徒弟制度と同様に、その制度自体も、プラス思考で見直すべき時に来ているような気がする。
先の例のように、現在、資本というものは事業に将来性や相性があれば、わずかな時間で大量に集めることが出来るようになっている。しかし起業家はとかくその資本の大きさに目を奪われて、それに伴う責任を軽視しがちだ。巨大な資本は当然経営に高収益とその分配を要求し、ある意味で会社は資本家の意図するようにしか成長出来なくなる。
しかし、起業家はそのような資本の縛りから離れたとき、自律的な成長によって、伸びたい方向・伸びたい分野に発展してゆくことが出来るようになるという一面がある。従来、有限会社とは、株式会社に要求される資本を集められない中小企業が名乗る肩書きのように見られ、往々にして軽視されがちであったが、有限会社の持つ良い意味でのフットワークを生かすべき時代がやってきているのではないだろうか。実際私たちは、今まで有限会社でずっとやって来たが、お陰さまで、私たちの経営の方向性を理解してくださる一流企業とおつきあいをさせていただいている。

もうひとつの気になることは、最近のベンチャーキャピタル業界のバブルに関することだ。結論を先に語るなら、私はこの世界の騒ぎをさめた目で眺めている。
私自身は会社員生活から一念発起して、今の会社を起こし、今年で10年の節目を迎えることが出来た。これは今にして思えば、実に幸運な出来事であったが、結局信じられるのは自らの能力と信念だけなのだ、という結論をその経験から感じている。こんな考え方は、特に私がいるようなIT業界の最先端の世界では古臭いことなのかもしれないが、私自身はデザインが好きでこの事務所を開き、そしてそれだからこそ、現職を続けていられると思っている。
私は自らの身の丈と同じレヴェルの体力しか持ち合わせてないのだ。だから私はそれに見合ったサイズの規模の経営を続けてきた。10年もの間、この考えは変わることはなかった。そして我が事務所は、私と同じようにゆっくりとしたペースではあるが、毎年着実に成長してきた。
そんな私から見ると、ベンチャーキャピタルの世界の一部の人々は、まるで砂上の楼閣を築いているように見えるときもある。私のように古くて地味な人間には理解しがたいものなのかもしれない。特に頭をひとつずつ下げて取引先を拡大してきた私にとっては、このベンチャーキャピタルブームには、得体の知れない違和感を感ずるところもあるのだ。

Works

ネットでイタリアと東京を結ぶ、番組を10年前1997年に制作していたんだ。

凡人デザイナーのオムニバス(グラフィック編-1)

アップルコンピュータの貴重サイン

実は、広告、CM制作の為に、月の不動産を所有しています。

東京工芸大学からのインタビュー

BIO-MORPH-MUYBRIDGE

Infini-Dポスター

アルケミア

東映三国志ポスターCG制作

LOVE MOTHER EARTHのポスターを制作する