知識

2004.09.09

現代アートに通ずる若冲の作品についてのインタビュー

最近注目を浴びている伊藤若冲。宇多田ヒカルのPVなどにも使われたりと、現代アート的なとられかたをするようになったのは、なぜだろう。グラフィックデザイナー、アートディレクターとして活躍している柴山信広氏に聞いた。

若冲の絵を初めて見たときは、色づかいの異常さとグロテスクさに圧倒されましたね。こんな昔に、こんなアバンギャルドな作家がいたんだと。正直、怖かった。でも、そこが若冲の作品の魅力でもある。若冲の絵のグロテスクさに惹かれる人は多いと思います。
 僕が若冲の絵が好きなのは、日本の美術の流れから、孤立している所。そして、みなぎる生命の力を感じるから。羽ひとつひとつが、まるで顕微鏡で生命の神秘を見ていくように細胞的な単位として、描かれている。ある種、草間弥生的な強迫観念をもって。その微細な部分にパワーを感じさせるのが魅力ですね。神経にザラッとひっかかる感じもする、モザイク上に升目で割って色を付けたりしている絵もある。当時はかなり新しいものだったのではないでしょうか。そういえば、この絵は六本木ヒルズ美術館で展示されていました。
 若冲の絵で風変わりなのは、彩色の仕方ですね。バリのシューピースが、ひきいた一連の絵や水墨画などは、色がないところに存在を感じさせるようなところがある。それに通じているものがあります。葉っぱをわざわざ墨で描いたり、瓢箪のところだけグリーンで描いたり、背景が黒かったり。そういった部分がイマジネーションを感じさせるので、彼の作品は実際より色鮮やかに感じられます。
 彼の絵から受けるのは、『生きていくんだ』というようなメッセージ。水墨画などだと、思想を描いているのですが、一方、若冲の絵は、描かれている生物一匹一匹が『生きているんだ』というようなダイレクトな表現のパワーがある。たとえるなら、横山大観の水墨画は永久不滅のエルメスみたいなもので、若冲の絵は昔なのにグッチ。大人の方向を持っているモチーフなんだけど、すごくアバンギャルド。生命そのものの「おたけびのようなもの」を描いているから、目にしたときに怖さを感じるのかもしれない。
 要するに、若冲の絵は極道なんですよ。生命には暴力的な怖さがある。ルールなしならどこまでも進んでいけちゃう、っていうところが今という時代にフィットしているのでは。それが若冲の作品の現代アートとの共通点なのかもしれません」

柴山信広氏プロフィール
「気持ちを伝える為のテクノロジー」として1988年からデザイン、広告に、コンピュータをどう生かせるかを研究。1990年「人を幸せにするコミュニケーション&テクノロジー」のコンセプトで4D.(ディスカッション、ディスカバー、ディレクション、デザイン)を設立。現在(株)4D.comで代表アートディレクターとして、IT系、メディカル系の為のコンサル&デザインを手がける。

Works

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