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知識
2007.07.21
ワールド・デザイン計画 新しいデザインの構造 第3回
雑誌 STEP-BY-STEP 1996年09号 掲載
ワールド・デザイン計画
新しいデザインの構造 第3回
さて、イタリアから戻ってきたトーキョー・オフィスにはカイ・クラウスが、新作ソフトを携えて、デモにきていた。彼は、この業界なら誰でも知っているKPTブライスを始め、Photo ShopのプラグインソフトでおなじみのKPTフィルターシリーズを開発してきた人物である。
カイ・クラウス(以下カイ)の創りだすソフトウェアは、まさに自分の感性と感覚で扱うものであり、他のソフトウェアを扱う時の様に、まず説明書を読んで、その次にチュートリアルに基づいて試してみて、というようなものでは全くない。実際に体を動かして体験して、楽しみながら覚えていくソフトである。そして、その機能には、はかりしれない夢がある。更に、画面上のインターフェースがまた独特で、多少中世風な雰囲気を漂わせながらも、クリアで、スッキリしており、それでいて遊び心を忘れていない。インターフェース上で、ポインタを動かしていると思わぬ所で隠れ機能(?)にぶつかったりした時には、ちょっと特した感じさえする。そんな私好みのタッチのアイコンを軽く押して動かすだけで、驚くべきCGができあがるのは本当に凄い。カイのPhoto ShopをいわばOSにしてしまうKAI'S POWER TOOLというソフトウェアは、私自身、以前よりお世話になっている所だった。
さて、今回の話しのテーマであるが、前回まで話していたインターネット構想から少し離れて、このカイの来社時の話しと、"KAI'S POWER GOO"という新作ソフトについての話しを中心にしたいと思う。
衝撃のKai's Power GOO!
そもそも、この話しのきっかけは、我々が不定期ではあるが、時々、身内や気の合う仲間に集まってもらい "マルチメディアを遊ぶ会" みたいなものを開いていて、久しぶりに連絡を取り合うと、カイ以外にも免疫学の研究をしていらっしゃる熊谷先生、カメラマンの所さんを始めとして、YMOの細野さんやレーザー照明の矢崎ランダムエレクトロニクスの矢崎さんなどが集まってくれた。皆、それぞれの専門分野が違い、ディスカッションは、カイの新作ソフトのデモに始まり、"今後のコンピューターアートの展望"から音楽、テクノロジーの話しまで幅広く楽しく話しあえた。
カイは、もともと新発売されたばかりのKAI'S POWER GOO(画像変形お遊びソフト)という新作ソフトのプロモーションを兼ねて来日しており、前日、前々日とビックサイトで行われたWindows EXPO. に出演し、本来は、その日のうちに帰国予定だったのだが、わざわざ我々のこの集まりに立ち寄るために帰国日を一日ずらしてくれたのだった。
当日、午後1時すぎにカイが4D.に到着。用意されてあったサンドイッチを片手にいきなり新作のソフトであるKAI'S POWER GOOのデモンストレーションを披露してくれた。最初に、デジタルカメラで僕の顔とカイの顔を取り合い、その顔写真データをマックの画面上にとりだし、GOOのインターフェースの右と左に配置した。そして、中央のスペースに片側の写真を配置し、その上をマウスでぐりぐりとこすりだした。すると周りから、「あー」という感嘆がもれた。みるみる、カイの顔のパーツが僕のパーツに置き変わりだしたのだ。その合成部分がとてもなめらかなのには驚いた。その扱いの手軽さに驚いていると、さらに周りからは、笑いがおこった。急いで、画面に目をやると、合成されたばかりの顔が、今度は、部分的にビヨーンと引き伸ばされたり、反対にクシャっと縮められたりして、顔の表情がまるで犬やカエルのよう滑稽に変形していた。さらに、それをQuick Time で保存して、プレイボタンを押すと、なんと、その変形がムービーとなってスクリーン上に現れた。カイのソフトには、本当にいつも感心させられるが、今回は、驚きとともに思わずふきだしてしまう笑いがあった。写真を手軽に合成したり変形させるプロ用のソフトとしてもとてもすぐれているが、このGOOは、それ以上にお遊び的要素を十分に秘めたものだった。
  
謎の「OS」を披露
みんなの笑いをとると、クラウス氏は、"にやり"として、みんなを再度マックの周りに呼び寄せた。一枚の謎のCD-ROMをインサートすると手早くパスワードらしきものを打ち込みそしてリターンキーを押した。
なんと、次に画面上に現われたのは、今まで見たことのない謎の開発中のOSソフトであった。
これは、基本的にマック、もしくは、マック・クローン上で動くシステム7.0等に代わるOS?で、カイの会社であるMeta Tools社が独自に開発したアルゴリズムで起動し、そして作動するものらしかった。
Meta Tools社という会社は、全くとんでもない会社だと思った。そのシステムのさまを例えるとするなら、コンピューターというブラックボックスの中にMr. マリックがいるようであった。このシステムを開発しているのがなんと若干23才の数学オリンピック世界第2位の人物というからこれまた驚きであった。カメラマンの所さんもカイの見せる新しい技術を興味深そうに眺めていた。途中から現れた細野さんも"これは凄い"と感心している様であった。
一連のカイのデモが終わると、みんな今度は、ローテーブルに移り、カイも座布団の上に座り色々と話し始めた。話題は、デジタルアートだけにとどまらず、デジタルミュージックへと移っていった。カイ自身もミュージシャンとしての活動経験もあり、P・ガブリエル、スティング等の著名なミュージシャンとも交友関係があるらしくそんな話題で細野さんとも盛り上がっている様子であった。
気が付くと、時計は既に、5時を回っており、カイもその日のうちにロスの自宅に帰るという事で、最後に、今回集まったみんなで将来DNAの配列を音に変換した音楽とビジュアルを融合させたものを作ろうと誓いあってお開きとなったのだった。
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