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2008.01.04

コンピュータと大型プリンタ技術によるタペストリー制作

大型インクジェットプリンターの技術革新によって------------------
中世のフランスに実際あったといわれるタペストリーを、写真とCGを用いて復元した。これらのタペストリーは15世紀、フランスの地方都市ポーヴェのある司教に捧げられたが、残念ながら散逸あるいは消失してしまい、現存しているのかどうかわからない。しかし19世紀に入り、このタペストリーはエッチング技法を用いて模写され。解説を付した作品集としてフランスで出版された。

コンピュータ技術と印刷技術----------------
今回、私はそのエッチングをテーマにCG技術を駆使し、現代的な感覚を織りまぜながら表現した。これは最新技術を用いながらも、古典技法に回帰することへのアプローチを意味している。また、自らの体を撮影し、合成することで作品の登場人物としての役割をも演じている。これらのシステムを私は「CAT(Computer Aided Tempera)」と名付けた。コンピュータによる錬金術により、映像を新しい意味をもつものに変換させる行為を含んでいる。

タペストリーの起源----------------------
タペストリーはいろいろな意味合いをもって織りなされるものである。たとえば、その時代のきらびやかなファッションをテーマに王の権力を示したり、戦争や世俗の歴史を描いたものなどがある。しかし、今回ここで紹介する復元したタペストリーは、新約聖書に基づく、聖ペテロの生涯を描いたものが主である。また、フランスの土地に由来する人物をテーマとしたタペストリーもあったが、こちらは登場するモチーフを新たに構成した、グラフィック要素の強い作品に展開してみた。15世紀半ば、フランスとイギリスが休戦条約を結んだ際に、ポーヴェの司教はその喜びを公共記念物によって後世に残すことを考えた。それがこのタペストリーである。これらのタペストリーに関する解説は1862年にフランスで出版された〜の中で、エッチングによる模写とともに述べられている。

タペストリーとの出逢い-----------------------
制作のきっかけは、CGコンファレンスに出席する為パリを訪れたときのこと。雨が降る中、とある古本屋の前を通りかかり、雨宿りのちょうどいい場所だと中に入ってみた。フランス語が通じないと思ったのか、あるいは私が暇そうに見えたのだろうか、店の主は私が古本を手に取り、見ているのを気にもとめない様子だった。本棚の上の方に手を伸ばしてみると、そこにはカビ臭いにおいのする1冊の大型本であった。数ページめくってみると、ただのアウトラインだけで陰影もなく、あわただしい時間の中で制作されたのではないかと思わせるようなエッチングの作品集である。本はかなり傷んでおり、紙は酸化し、シミだらけだった。私はモトの所に本を戻し、店のおやじさんに眼鏡越しにちらりと見られたが、挨拶をするでもなく店をあとにした。パリの交差点を3つほど過ぎ、地下鉄に乗り、バスチーユ広場に戻ろうとしたのだが、しかし私は途中で地下鉄を降り、再びもときた道を引き返してしまった。あの本を購入する為に古本屋に戻ったのである。それから数年間、この本は私の所で静かに眠っていた。復元可能なテクノロジーが熟成するのを待つかのように。

現代型タペストリー制作にあたり----------------- このタペストリーを蘇らせるのに私は大型プリンターを併用している。そしてかつてジオットが行ったであろう方法、つまり兎のにかわを溶き、ボローニャ石膏を用いて特製のキャンバス地をつくった。少しずつ処方を変え、何種類もつくりテストを重ねていった。今の時代だからこそ、私は逆に古きものへのあり方に気を配りたかった。温故知新である。その結果、限りなく現代と古典が融合し始めた。これがとてもおもしろい。コンピュータで制作するにあたりいくつかの問題点が生じ、作業が滞ることもあったが、4Dboxのテックス1と2がそれらを解決してくれ、フォトショップやその他のソフトのバージョンがこの絵のためにうまく機能しはじめるようになった。 私はそのエッチングをテーマにCG技術を駆使し、現代的な感覚を織りまぜながら表現した。これは最新技術を用いながらも、古典技法に回帰することへのアプローチを意味している。また、自らの体を撮影し、合成することで作品の登場人物としての役割をも演じている。これらのシステムを私は「CAT(Computer Aided Tempera)」と名付けた。コンピュータによる錬金術により、映像を新しい意味をもつものに変換させる行為を含んでいる。

そのエッチングをテーマに写真技術とCG技術を駆使し、多彩な色を織りまぜることで現代的な感覚を表現した。これは最新技術の中にあって、古典技法に回帰することへのアプローチを意味している。また、自らの体を撮影し、合成することで作品の登場人物としての役割をも演じている。コンピュータを使用した錬金術により、映像を新しい意味をもつものに変換させる行為を含んでいる。

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コンピュータと大型プリンタ技術によるタペストリー制作

植島啓司先生からのコメント

ネットでイタリアと東京を結ぶ、番組を10年前1997年に制作していたんだ。

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